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 頻脈性不整脈は、下記のように分類されます。ここでは、それぞれの不整脈に対して、その原因や治療法について説明します。

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1. 上室性不整脈

2. 心室性不整脈
・2-1 心室期外収縮
・2-2 心室頻拍





1. 上室性不整脈

 1-1 心房期外収縮
 心房期外収縮とは、もっとも頻繁に認められる不整脈の一つです。自覚的には脈が飛んだり(脈が抜ける)、数回連続でトクトクトクッと感じたりすることがあります。また心電図検査などで偶然見つかることもあります。この心房期外収縮は、正常の電気の流れ(図2)を作っている洞結節以外の部位から(図3)、洞結節の刺激より早く出ることによって生じます(図4)。

 

 

 

 この心房期外収縮そのものによって、重篤な病態になることはありませんが、後述する様々な不整脈を引き起こす(トリガーといいます)原因になります。自覚症状が強い場合は、まずは薬物療法を行います。出現頻度が多い場合や、連発して出現する場合(これを心房頻拍といいます。詳細は後述。)には、カテーテルアブレーションによって90%程度の成功率で治療することが可能です。


 1-2 発作性上室性頻拍(PSVT)
 発作性上室性頻拍は、頻脈性不整脈の中でもっとも一般的なものです。房室回帰性頻拍房室結節リエントリー性頻拍に分けられます。いずれもカテーテルアブレーションによって比較的容易に根治することが可能です。


 1-2 房室回帰性頻拍
 正常では、心房と心室を電気的につなぐ部位は房室結節だけです。しかし、房室回帰性頻拍の患者さんには、生まれつき余計な伝導路が心房と心室間にあります。この余計な伝導路を副伝導路またはKent束といいます。WPW症候群はこの副伝導路が存在するために、特徴的な心電図を呈します。
 この副伝導路を有する方は、心房期外収縮などをきっかけに、心房から心室へ降りた電気の流れ(電気的興奮)が、副伝導路を通って再び心房へ戻ります。それがまた心室へ降りていき、再度心房へ戻るということが繰り返されます。これが頻拍発作となります。脈拍数は突然200回前後/分に上昇し、動悸、胸部圧迫感などの症状が出現します。
 この不整脈は、突然の頻拍発作が繰り返し出現すること、薬では発作を停止することは可能ですが、薬では根治はできないこと、カテーテルアブレーションによる成功率が高いことから、薬物療法よりカテーテルアブレーションによる治療を勧めております。カテーテルアブレーションによって、この副伝導路を完全に切断すると、発作は永久的に出現しなくなります。我々の初回成功率(1回目のアブレーションによる成功率)は98%となっております。

 

 1-2 房室結節リエントリー性頻拍
 房室結節リエントリー性頻拍は、正常伝導路(電線)である房室結節の近くに、伝導の特性が異なる2本の伝導路(速い伝導路fast pathwayと遅い伝導路slow pathway)が存在し、その2本の伝導路を介して房室結節の周囲を電気的な興奮が旋回し、頻拍発作が生じます。この発作も心房期外収縮などをきっかけにして、頻拍が生じます。遅い伝導路を選択的にアブレーションすることによって根治が得られます。我々の初回成功率は99%となっております。

 いずれもアブレーションが成功すると、頻拍発作は出なくなります。しかし、患者さんによっては術後も「不整脈発作が出そうな気がする」と感じる方がいらっしゃいます。これは、心房期外収縮や後述の心室期外収縮による症状です。アブレーション前は、それらがきっかけ(トリガー)となって頻拍発作が出ていましたが、アブレーション後は回路が切断されていますので、きっかけが出現しても、頻拍発作は起きないという状態になります。

 


 1-3 心房頻拍
 心房頻拍は、心房内に異常な電気的興奮部位が存在し、その興奮頻度が洞結節を上回る場合に頻拍となって出現します。症状は発作性上室性頻拍と同様に、動悸や胸部圧迫感などがあります。薬物療法が無効のことも多く、カテーテルアブレーションの適応となります。

 心房頻拍は、右房や左房の様々な部位を起源とします。カテーテルアブレーション時は、まずその起源を同定し、起源に対して局所的に焼灼を行います。成功率は90〜95%程度となっています。
 不成功の理由は、@カテーテル治療時に頻拍が出現しないことや、A頻拍の起源が心臓の外側にある場合、B起源が洞結節や房室結節にある場合などです。
 @については、心房頻拍は気まぐれのことが多く、手術中に全く生じないことがあります。この場合治療は困難です。
 Aについては、カテーテルアブレーションは心臓の内側から治療しますので、起源が外側にある場合は焼灼のエネルギーが到達せず、治療ができないことがあります。
 Bについては、洞結節や房室結節( 参考1 )に起源がある場合、同部位を治療することによって洞結節や房室結節が傷害され、心臓ペースメーカが必要になることがあります。この場合、患者さんおよびご家族と改めて治療の継続について相談します。

 

 


 1-4 通常型心房粗動
 通常型心房粗動も最も一般的な頻脈性不整脈の一つです。動悸や息切れなどの自覚症状を契機に診断されることや健康診断で診断されることもあります。通常型心房粗動は、右房と右室の間にある三尖弁輪を毎分300回前後の頻度で電気的な興奮が回旋することによって頻拍が生じます。心電図上は鋸歯状波という特徴的な波形を呈します(図8)。

 

 心房粗動は薬物療法が無効なことが多く、また抗不整脈薬を増量すると副作用が出現しやすくなります。また心房粗動は持続するとしばしば心不全をきたします。一方、カテーテルアブレーションは比較的容易で安全に施行可能で、その成功率は95%となっています。したがって、通常型心房粗動はカテーテルアブレーションのよい適応であり、積極的にカテーテルアブレーションを勧めています。



 1-5 心房細動
 心房細動も一般的な頻脈性不整脈の一つです。心房が毎分400から600回の頻度で収縮するため、結果的には心房は痙攣(けいれん)状態になってしまいます。主な原因は、左心房に付着する4本の肺静脈から、早い刺激が左心房内に伝わることです(図9)。この肺静脈からの早い刺激(心房期外収縮)が、心房細動を引き起こします。

 

心房細動には、大きく4つの問題があります。
 1つ目は、自覚症状です。心房細動では安静時でも脈拍が早くなることが多く(頻脈)、また脈拍が完全にバラバラになります。その結果、動悸や胸の違和感、圧迫感、息切れなどを感じます。中には完全に無症状の方もいらっしゃいますが、よくお話を聞くと、「疲れやすくなった」や「運動能力が低下した」などの症状があります。
 2つ目は、心不全です。心室が血液を有効に拍出するためには心室がしっかり拡張し、血液を貯める時間が必要です。しかし、心房細動で頻脈が続く結果、心臓は十分に拡張する時間がなくなり、有効な拍出ができなくなり、その結果心不全となってしまいます。
 3つ目は、脳梗塞です(図10)。心房細動になると心房が痙攣状態になります。その結果、心房内の血流によどみが生じ、血の塊(血栓)を作りやすくなります。とくに、左心房には左心耳という袋状の構造があり、この中に血栓ができやすくなります。血栓がはがれて、脳へ飛んでしまうと、脳梗塞を発症することになります。図11、図12に左心房の構造、左心耳内の血栓の様子を示しています。

 

 

 

 4つ目の問題として、心房細動の進行があります。心房細動は進行性の病気です。心房細動が進行すると、発作の回数や持続時間が長くなってきます。発作が始まってから一週間以内に自然停止するものを発作性心房細動と呼び、1週間以上1年間未満のものを持続性心房細動、1年以上持続するものを長期間持続性心房細動と呼んでいます。心房細動の初期は発作性ですが、進行すると持続性心房細動になっていきます。
 治療は、主に薬物療法とカテーテルアブレーションがあります。薬物療法は、抗不整脈薬による治療、脳梗塞の予防、心不全の予防を組み合わせて行います。しかし、抗不整脈薬は心房細動の進行とともに効かなくなってくるという問題点があります。またときに重篤な副作用があります。脳梗塞の予防のためには、ワーファリンやプラザキサという血液をサラサラにする薬剤を用いますが、出血のリスクがあります。およそ年間1%程度で、脳出血や消化管からの出血があります。
 薬物療法以外の治療法として、カテーテルアブレーションがあります(図13、14)。

 

 

 心房細動の原因の多くは、肺静脈からの刺激によると説明しました。そこで、この肺静脈がカテーテルアブレーションの治療の対象となります。肺静脈は4本ありますが、多くの例で、4本の肺静脈の様々な部位から心房細動の刺激が出現します。そのため、4本の肺静脈を全て、左心房と電気的に絶縁状態にします。これを電気的肺静脈隔離術といいます。我々は、図14のように、肺静脈と左房の接合部を連続的に焼灼し、右上および右下肺静脈、左上および左下肺静脈をそれぞれ一括して、電気的に隔離しています。電気的に絶縁状態にすると、肺静脈内からどれだけ刺激が出ても、左心房には刺激が伝わらず、心房細動にならなくなります。心房細動の程度にもよりますが、およそ80〜90%の患者さんで、この肺静脈隔離術だけで良好な結果が得られます。

 カテーテルアブレーションの成績は、心房細動の進行の程度で変わってきます。我々の成績では、発作性心房細動や初期の持続性心房細動であれば、初回治療後、80%程度で発作が出なくなります。20%の患者さんでは、初回治療後に再発を認めます。その原因の多くは、肺静脈と左心房間の電気的な再伝導です(図15)。

 

 焼灼部位(やけど)の心筋細胞が時間とともに回復し、肺静脈内の刺激が再び左房へ伝導してしまうのです。この場合、2回目以降のアブレーションで、この再伝導部位(ギャップ)を焼灼し、電気的隔離を完成させます。発作性心房細動および初期の持続性心房細動では、2回の治療によっておよそ95%の患者さんで心房細動が出現しなくなります。進行した持続性心房細動では、その成績は低下し、初回の治療で60〜70%程度の成功率になっています。
 心房細動に対するカテーテルアブレーションは、このように有効な治療手段ですが、他の不整脈に対するアブレーションと異なり、複数回の治療が必要になることがしばしばあります。また、カテーテルアブレーションの合併症(脳梗塞、心タンポナーデなど。図21、22参照)も他のアブレーションと比較し頻度が高く、統計的には0.1%の死亡率があるとされています。

 

 

 したがって、心房細動の治療については、術前に担当医としっかりと相談し、そのメリットおよびデメリットを理解していただく必要があります。その相談の中で、患者さんにとって、アブレーションのメリットが上回ると判断できた場合に初めて治療の適応となります。外来担当医もしくは本ホームページ上でご相談ください。

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2. 心室性不整脈

 2-1 心室期外収縮
 健康な方にも比較的多く認められる不整脈です。正常な心室の興奮より早いタイミングで、心室の様々な部位から電気的な異常興奮が出現する状態を言います。図16に右室の代表的な起源を示しています。この心室期外収縮が連続して出現すると心室頻拍となります(後述)。

 

 心室期外収縮は、心機能が良好で、その出現頻度が少なく、また自覚症状が強くない場合は、ほとんどの例で治療が必要ありません。しかし、動悸などの自覚症状が強い場合には、まず薬物治療を行います。薬物療法が無効であった場合や、心室期外収縮の頻度が非常に多く、それが原因で心機能や運動能が低下した場合は、カテーテルアブレーションによる治療を考慮します。図17に右室起源および左室起源の心室期外収縮に対するカテーテルアブレーションの模式図を示します。

 

 心室期外収縮に対するカテーテルアブレーションの我々の治療成績は90〜95%程度になっています。
 不成功の理由は、@カテーテル治療時に心室期外収縮が出現しないことや、A期外収縮の起源が心臓の外側にある場合、B起源がヒス束の近傍にある場合などです( 参考2、図16)。
 @については、心室期外収縮は気まぐれに出現することが多く、手術中に全く生じないことがあります。この場合治療は困難になります。
 Aについては、カテーテルアブレーションは心臓の内側から治療しますので、起源が外側にある場合は焼灼のエネルギーが到達せず、治療ができないことがあります。
 Bについては、ヒス束に起源がある場合、同部位を治療することによってヒス束が傷害され、その結果、心房から心室への電気的興奮が伝導しなくなり、心臓ペースメーカが必要になることがあります(図24)。この場合、患者さんおよびご家族と改めて治療の継続について相談します。

 

 


 2-2 心室頻拍
 心室は最終的に全身に血液を送る重要なポンプの役割を果たしています。この心室から生じる頻拍を心室頻拍といいます。心室頻拍はポンプの動きに直接的に異常をきたすため、血圧が低下したり、意識を消失したり、場合によっては突然死に至ることもある重篤な不整脈です。心筋梗塞や肥大型心筋症、拡張型心筋症など器質的心疾患がない例に生じる心室頻拍を特発性心室頻拍、器質的心疾患がある例に生じる心室頻拍を続発性心室頻拍といいます。
 器質的心疾患のない特発性心室頻拍は、心室内の異常興奮部位や異常旋回路から頻拍が起きます。カテーテルアブレーションによる治療効果が高く、異常興奮部位や異常旋回路を焼灼します。その成功率は95%程度であり、積極的にカテーテルアブレーションを勧めています。図18に特発性心室頻拍のカテーテルアブレーションの模式図を示します。

 

 一方、続発性心室頻拍は、障害された心筋に異常旋回路が形成され出現することが多く(図19)、持続すれば容易に心室細動へと移行し致死性となるため、その治療には薬物療法に加え植込み型除細動器(ICD)の植込みが必須となります。しかし、頻拍の発作頻度が多い場合や、頻拍が絶え間なく出現するような場合などにはカテーテルブアレーションによる治療を行います。その成績は70%程度となっております。

 




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