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カテーテルアブレーションの手技

 アブレーション治療はカテーテル検査室で行われますが、カテーテル検査室内では専用のベッドがありますのでそちらに移っていただきます。そして心電図のパッチ電極、3次元マッピング用のパッチ(首、側胸部、大腿内側、胸と背中)、高周波通電用のパッチ(背中)等の様々なパッチ(サイズは直径数センチから10センチほど)を体表に取り付けます。パッチから電流が出るわけではないので心配しないでください。それと同時に基礎麻酔薬を静注しますので、ベッドに横になると眠くなると思います。

 そして右頚部と両側の大腿部(太股の付け根)を広範囲に消毒します。消毒はイソジンという茶色い 消毒液を用いて2度行います。そして、それが済めば体全体を覆う滅菌されたシーツを全身に被せま す。このシーツの表面は無菌状態ですので、これ以降だれも素手でシーツの表面を触ることはできません。

 次は局所麻酔ですが、右頚部と両側鼠径部の皮下に局所麻酔薬をそれぞれ10ml前後注入します。麻酔薬の注射時は歯医者での麻酔と同様にチクッとしますが、直ぐに麻酔効果が現れます。
 局所麻酔が済めば右首の内頚静脈に1本、右鼠径の大腿静脈に2本、左鼠径の大腿静脈に1本と大腿動脈に1本の管を入れます(シースと言われるカテーテルの挿入用の細長い管です)。シースを挿入したら、この時点で血栓形成の予防の目的で静注用の抗凝固薬であるヘパリンを3,000単位静注します。

 大腿動脈からシースを介して細い電極カテーテルを大動脈の基部(バルサルバ洞と言います)まで進 めて留置し、3次元マッピングの位置情報の基準点として使います。右頚部の内頚静脈からは左心房 をぐるりと取り囲むように走行する冠静脈洞内へ進めるカテーテルを挿入し、大腿静脈からは左心房 内へ進めるカテーテルを2本、緊急時対応用の右心室へ進めるカテーテルを1本挿入します。

 
 

 ブロッケンブロー法という特殊な手技で2本のカテーテルを左心房へ進めた後に、カテーテルで左心房の内面をなぞり、左心房内膜面を3次元で再構築します(3次元マッピング)。その再構築象をジオメトリーと呼んでいますが、先ほどの図5,6で示した左心房の画像がジオメトリーです。

 左心房へカテーテルを進めた段階でヘパリンを追加投与し、以後30分ごとに採血しヘパリンの効果を確かめますが、必要に応じてヘパリンの追加投与を行い十分に効いた状態に維持します(ACT300-400秒に維持)。
 そして、いよいよ左心房の中へ進めたアブレーション用のカテーテルの先端の電極に高周波という特殊な交流電流を30W前後の強度で流して心房筋を焼灼していきます。焼灼時はカテーテル先端の電極が接触した心筋が50度から60度に熱せられることで、その部位の心筋の不可逆的な壊死を生じます。

 心房細動のカテーテルアブレーションは、肺静脈壁及びその基部の心房筋から出現する異常興奮を左房筋へ伝導させないようにすることが治療の基本となっています。これを肺静脈前庭部隔離術(pulmonary vein antrum isolation, PVAI)といいます。

 我々は、図5のように、肺静脈と左房の接合部を連続的に焼灼し(白色のタグがカテーテルによる焼灼部位)、右上および右下肺静脈、左上および左下肺静脈をそれぞれ一括して、電気的に隔離しています。この結果、肺静脈内の異常興奮、すなわち心房細動の原因は、左房に伝導しなくなり、心房細動の発作が消失します。
 図6に肺静脈前庭部隔離術の実際のレントゲン像を示します。左心房の輪郭を青線で示し、焼灼部位を黄色のタグで示しています。このレントゲン像は、上下の右肺静脈を一括で隔離しているところです。肺静脈前庭部を効率よく安全に行うために、色々な電極カテーテルが心臓内に留置されています。

 ところで心房細動、特に発作性心房細動の原因のほとんどは肺静脈から出現する異常興奮ですが、10〜20%の患者さんで、肺静脈以外の部位から心房細動が出現することがあります。これを我々はNon-PV fociとよんでいます。
 Non-PV fociのなかで、多く認められるのが右房に流入する上大静脈です。この場合、図7に示すように肺静脈同様に上大静脈の電気的隔離を行います。上大静脈以外にも、頻度は比較的少ないのですが左心房の天蓋部や心房中隔などの部位から房細動が出現します。

 

 心房細動が進行している患者さん(持続時間の長い方)は肺静脈以外の起源を認める頻度が多くなってきます。発作性心房細動の患者さんでは肺静脈前庭部隔離術とNon-PV fociの検索と焼灼で十分満足行く効果が挙げられます。我々は通電時には3次元マッピングの画像のみを見て治療しますのでレントゲンによる透視時間は非常に短くて済みます。
 通常、手技を開始してから肺静前庭部脈隔離術とNon-PV fociへの通電が終了するまでの透視時間は15分程度で、手技時間は3時間以内です。

 さて、発作性心房細動の患者さんではここまでの治療により、1回の手技で80%程度の根治率が得られますが、持続性や1年以上心房細動が持続した長期間持続性心房細動の患者さんでは不十分であることが知られています。もちろんこれらの患者さんでも肺静脈の重要性は変わりませんが、それに加えて心房本体に存在するリエントリーも重要であることが知られています。

 そこで、肺静脈隔離の完成後にリエントリー回路を破壊する目的で心房本体を焼灼していきます。この際に図8に示すように電気的に異常な部位(CFAEといいます)をポイントで通電していく方法(CFAEアブレーション)や、心房内に線状に通電していく方法(線状通電法)などが行われますが、症例によりどのような治療戦略を用いるのかを個々別々に決めていきます。ここまでの手技で、手技時間は3時間、透視時間は20分前後になります。

 

 心房細動の患者さんは通常型心房粗動を合併している例が多いことが知られています。特に発作性心房細動の患者さんでは高頻度です。
 このため、外来で心房細動に加えて心房粗動が記録されている方や、心房細動アブレーション中に心房粗動が認められた患者さんでは、手技の最後に心房粗動のアブレーションを追加します。心房粗動のアブレーションの追加に要する手技時間は10-15分程度です。手技の詳細は心房粗動の項目をご覧ください。

 手技が終了したらカテーテルを抜去し、シースを抜きますが、止血のために穿刺部位を10分程度指先で圧迫します。この時に抗凝固薬であるヘパリンの中和薬であるプロタミンを投与します。止血ができたらバンドで締め、止血を確実にします。

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